生命保険に入るとき、一番悩むのが「いくらの保障が必要なのか?」という問題ではないでしょうか。営業マンに勧められるままに3,000万円、5,000万円の保険に入っている方も少なくありません。
しかし、その金額にちゃんとした根拠はありますか?必要保障額は計算で出せますし、思ったより難しくありません。
この記事では、必要保障額の計算方法を具体的な数字を使って分かりやすく解説します。計算してみたら「こんなに少なくていいの?」と驚く方も多いはずです。
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必要保障額の基本的な考え方
必要保障額 = 遺族の支出 − 遺族の収入
これが基本の計算式です。自分が亡くなった後、残された家族にいくらの支出があり、どれだけの収入(公的保障や配偶者の収入)でカバーできるのか。その差額が、生命保険で備えるべき金額になります。
多くの方が見落としがちなのが、遺族年金や配偶者の収入のことです。自分が亡くなったからといって、家族の収入がゼロになるわけではありません。公的保障を含めた「もらえるお金」を計算に入れると、必要保障額は想像より少なくなることが多いのです。

遺族の支出を計算する
生活費
残された家族の生活費は、現在の生活費の70%程度が目安です。一人分の食費、光熱費、通信費などが減るためです。
例:現在の月の生活費が30万円 → 遺族の月の生活費は約21万円
末子が独立するまで20年間 → 21万円 × 12か月 × 20年 = 5,040万円
その後、配偶者が65歳まで15年間(子なし世帯規模に縮小、月15万円) → 15万円 × 12か月 × 15年 = 2,700万円
子どもの教育費
教育費は進路によって大きく変わります。記事執筆時点の目安は以下の通りです。
・すべて公立の場合:幼稚園〜大学で約800万円
・すべて私立の場合:幼稚園〜大学で約2,200万円
・一般的なパターン(高校まで公立、大学私立文系):約1,000万〜1,200万円
子どもが2人いれば単純に2倍になります。ただし、すでに払い終わった分は差し引きましょう。
住居費
持ち家で住宅ローンがある場合、団体信用生命保険(団信)でローン残債が完済されるため、住居費の負担は固定資産税や管理費程度に収まります。これは大きなポイントです。
賃貸の場合は、家賃がそのまま必要になります。月8万円の家賃 × 12か月 × 30年 = 2,880万円です。
葬儀・お墓の費用
葬儀費用は平均150万〜200万円程度です。お墓の費用も含めると300万円程度を見ておくと安心でしょう。
その他の費用
車の買い替え、家のリフォーム、旅行など、将来的にかかる大きな支出も概算で加えておきましょう。500万〜1,000万円程度を予備費として見ておくのが一般的です。
遺族の収入を計算する
遺族年金
会社員の場合、遺族基礎年金+遺族厚生年金が支給されます。この部分は意外と手厚く、多くの方が「そんなにもらえるの?」と驚くポイントです。
遺族基礎年金:配偶者+子1人の場合、年額約109万円。子が18歳になるまで支給されます。
遺族厚生年金:亡くなった方の厚生年金加入歴と報酬に基づいて計算されます。平均的な会社員(平均報酬月額35万円・加入期間20年)の場合、年額約50万〜60万円程度。配偶者が65歳になるまで支給されます。
合計すると、子どもがいる場合は年額約160万〜170万円程度の遺族年金が受け取れるケースが多いです。20年間なら3,200万〜3,400万円。これだけでかなりの金額をカバーできます。

配偶者の収入
配偶者が働いている場合、その収入も計算に入れます。正社員で年収300万円なら、20年間で6,000万円。パートで年収100万円でも、20年間で2,000万円になります。
専業主婦(主夫)の場合でも、万が一の後に働き始めることを想定して、年収150万〜200万円程度の収入を見込むのが現実的です。
貯蓄
現在の貯蓄額も差し引きます。500万円の貯蓄があれば、必要保障額は500万円分減ります。
具体的な計算例
ケース1:30代会社員・妻・子ども1人(3歳)
支出の合計:
・生活費:21万円 × 12 × 22年(子が独立まで)= 5,544万円
・その後の生活費:15万円 × 12 × 13年 = 2,340万円
・教育費:1,200万円
・葬儀費:200万円
・予備費:500万円
合計:9,784万円
収入の合計:
・遺族年金:150万円 × 22年(概算)= 3,300万円
・遺族厚生年金(子独立後):50万円 × 13年 = 650万円
・配偶者の収入:200万円 × 30年 = 6,000万円
・貯蓄:500万円
合計:10,450万円
必要保障額:9,784万円 − 10,450万円 = マイナス
このケースだと、計算上は生命保険がなくても遺族の生活は成り立つことになります。ただし、配偶者がすぐに正社員として働ける保証はないので、就労までの準備期間を考慮して500万〜1,000万円程度の死亡保障があると安心でしょう。
ケース2:35歳会社員・妻(専業主婦)・子ども2人(5歳・2歳)
支出の合計:
・生活費:25万円 × 12 × 23年 = 6,900万円
・その後の生活費:15万円 × 12 × 12年 = 2,160万円
・教育費:1,200万円 × 2人 = 2,400万円
・葬儀費:200万円
・予備費:500万円
合計:12,160万円
収入の合計:
・遺族年金:160万円 × 23年 = 3,680万円
・遺族厚生年金(子独立後):50万円 × 12年 = 600万円
・配偶者の収入(パートで150万円想定):150万円 × 28年 = 4,200万円
・貯蓄:300万円
合計:8,780万円
必要保障額:12,160万円 − 8,780万円 = 約3,380万円
このケースでは、約3,400万円の死亡保障が必要です。収入保障保険なら月15万円 × 23年で設計すると合理的でしょう。

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必要保障額を計算するときの注意点
住宅ローンの団信を忘れずに
住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に入っていれば、契約者が亡くなるとローン残債はゼロになります。3,000万円のローンが残っていても団信があればカバーされるので、必要保障額から除外できます。
遺族年金は自営業だと少ない
自営業(国民年金のみ)の場合、遺族厚生年金がないため、遺族基礎年金のみの支給になります。会社員よりも必要保障額が大きくなるので要注意です。
子どもの成長とともに必要保障額は減る
子どもが1歳成長するごとに、必要な教育費と生活費が1年分減ります。つまり、必要保障額は毎年少しずつ減っていくのです。これが収入保障保険(年々保障額が減っていくタイプ)をおすすめする理由です。
インフレを考慮する
将来の物価上昇を考えると、今計算した金額では足りなくなる可能性もあります。ただし、賃金もインフレとともに上がることが多いので、過度に心配する必要はありません。予備費をやや多めに見積もっておけば大丈夫でしょう。
まとめ:計算してみたら「意外と少なかった」という人が多い
必要保障額を正確に計算すると、多くの方が「思ったより少なくていいんだ」と驚きます。遺族年金や配偶者の収入を考慮すると、5,000万円や1億円の保険が必要なケースは限られています。
「なんとなく3,000万円」で保険に入っているなら、一度この計算をしてみてください。過剰な保障を削ることで、月数千円の保険料を節約できるかもしれません。

必要保障額のシミュレーションは生命保険文化センターのサイトでオンラインで計算できます。遺族年金の詳しい計算方法は日本年金機構のサイトで確認してください。
※記事執筆時点の情報です。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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